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その子の夢

その子の夢


この世界だけに生きることが
どんなにラクで素敵かをわかっても
前の世界の余韻が抜けるには、ちょっと猶予があるみたいで
前の世界にいるあの子が「かつてあったこと」のように
扱ってもらいたがっているみたい。

たぶん「忘れちゃいやだ」と、だだをこねているだけだから
「忘れないよ」といったん抱きしめて
抱きしめたまま、この世界にいっしょに跳んでみる。

目を開けると、腕の中のその子は、消えてしまっていて
この世界は、抱きしめたまま持ち込めるものは
一つもないのだとわかり

でも、どこかに落としてきたかもしれないと
すこし罪悪感にかられ、あたりを探す。

夢の中だけに存在していたその子は
心配しなくても、どこにもいない。

なんと最初から、どこにもいなかった!

ただ 夢を見ていただけ。
その子の夢を見ていただけ。

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